閉経まぢかでも「最終月経」がどれなのかがわかりません【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#10
青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。閉経を判断する「最終月経」55歳くらいまではあまり気にしないでいて
日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。
乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生は、丁寧に私たちの訴えに耳を傾けながら、「だいじょうぶ!更年期は絶対終わるから!」と太鼓判を押してくれる力強い味方。そんな新見先生に「医師に聞いていいのか迷うこと」をまとめて聞くシリーズです。
【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#10
Q・経血量が減って、不正出血と見分けがつきません。「最終月経」はどう判断する?
こんにちは、47歳の働くママです。今日は「最終月経」についての質問です。
「閉経は、最終月経から1年経過した時点で、遡って1年前に閉経したものと判定する」と書いてありますが、この最終月経がわかりにくいです。
私はいま47歳で、まだ閉経までは少しあるかなと思っていたのですが、この10か月ほど「ちゃんとした」生理がきていません。このまま閉経でも不思議はないと思います。
ただ、本来月経が来たであろうタイミングでこれまで通り胸が張ったり、足がむくんだりします。また、月経だったはずの期間にわずかながら下着に汚れがつくことがあります。ただ、明らかに月経だと言っていい量の出血はありません。
わずかでも出血があれば月経とカウントするのか? それとも私の月経は終了したのか? どれを最終月経と言うべきなのか。基準はどうなのでしょう。
(サトミさん・47歳 更年期症状の度合い/不調が出ることもあるが、なんとか乗り切れそう)
A・閉経は気になりますが、実は医学的にはそこまで重要ではないんです
サトミさん、こんにちは。いろいろな方から同じように「いつ閉経したのかを具体的に知りたいと」いう質問をいただきます。結論から言うと医学的には閉経はそれほど重要ではないのですが、それは後からお話しするとして、まずはこのわかりにくさについて。
閉経8年前あたりから無排卵月経が増えていくことは前回お話ししましたが、加齢とともに子宮内膜も薄くなっているため、若いころのように厚くなりきらなくてもはがれてしまい、経血量は減っていきます。リズムも乱れていますから、「不正出血と言われても、先生、この出血が不正なのか、適正なのか、どちらなのかわかりません」なんてぼくも相談をよく受けます。
最終月経がわかりにくい原因は2つあります。
一つは上記の通り閉経間際は経血量がかなり減って間隔も開いていることが多いため、おっしゃるとおり「ちゃんとした」月経なのかがわかりにくいこと。
もう一つ、1年前を振り返る必要がありますが、時間がたちすぎてそこまで詳しく覚えていないため、「本当に月経ってカウントしてよかったのかな……?」と迷いやすいことです。
さて、ぼくは普段、乳がん治療のセカンドオピニオンを手掛けていますが、乳がん治療中の方のうち抗ホルモン剤を飲んでいる人は生理が止まるため、そもそも閉経がまったくわかりません。
乳がん治療にとって、閉経とは服用する薬を変える重要なタイミングです。
閉経前はノルバデックスという薬を服用します。閉経後はアロマターゼ阻害薬。加えて、閉経前で若いと、
ですが、投薬中はいつ閉経になったかがわかりませんので、治療開始前に閉経していなかった人ならば、当初5年はノルバデックス(+LH-RHアゴニスト製剤)、残り5年はアロマターゼ阻害薬を投与するのが一般的です。
おわかりでしょうか。
乳がんという命に関わる病気で大きな投薬をする際でも、「まだ閉経していない人は5年間ノルバデックス」というとってもざっくりした目安でOKなのです。これが「医学的に閉経はそれほど重要ではない」と申し上げた意味です。
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