「返信ください」はかなり失礼?敬語・丁寧語を間違えない2ポイントとは

「〇〇を返信ください」「〇〇に参加くださいまして……」「〇〇を利用ください」。

このような誤った日本語が、世の中にはびこるようになってきました。

もともとは20年ほど前からネット上でよく見かけた言葉で、私も、そういう世界の人が、文字数を1文字でも少なくする技として使っているのだろうと思っていたのです。

ところが、ネットが想像以上に普及し、SNSがコミュニケーションツールとして主役にのし上がり、この言葉遣いが当たり前のようになったあたりから、正式なメールや書簡などにも表れ始めました。

言葉は生き物、変化して当然ではありますが、「誤用だ」ということをわかって使っている人がいなくなることには、教育者として危機感を感じます。

 

回避策1「ご」をつける!

まずは「〇〇を返信ください」ではなく、「返信ください」について考えてみましょう。

 

これは「返信」が名詞で、それをください。という形ですね。「お茶ください」と同じです。丁寧にするためには、名詞の次に助詞の「を」を入れることが重要。「お茶『を』ください」となります。

 

そう考えると、この「返信ください」を丁寧にしようと思ったら、「返信をください」になります。これは誤用ではありません。会話文でもよく耳にする言葉ですよね。

  • お帰りになりましたら、返信をください。
  • 今すぐ、返信をいただきたいです。

 

さて「返信」に「〇〇を」という言葉がついた場合、これは状況が変わります。「返信」は名詞ではなくなるのです。これはすぐに不自然さがわかると思います。

  • お帰りになりましたら、回答を返信をください。
  • 今すぐ、回答を返信をください。

 

そうですね、「を」が連続しておかしなことになっています。「返信」が名詞でなくなった証拠です。そこで、「回答を」を「回答について」「回答の」などに変えることで誤用ではなくなります。

  • お帰りになりましたら、回答について返信をください。
  • 今すぐ、回答の返信をください。

 

これで大丈夫です。文法的にはあっています。「回答」の方ではなく、「返信」の方を変化させる方法があります。これがみなさんがよく使う方法ですね。まず「返信」を丁寧にします。「ご返信」です。次のように変わります。

  • お帰りになりましたら、回答をご返信ください。
  • 今すぐ、回答をご返信ください。

 

「ご」をつけてこれで大丈夫です。文末を丁寧にし、もっと丁寧な文にもできますね。

  • お帰りになりましたら、回答をご返信くださいますよう、お願い申し上げます。
  • 今すぐ、回答をご返信いただければ幸いです。

 

回避策2「して」をつける!

さて「回答を」と着いた場合は少々複雑です。

 

先ほど名詞ではなくなったと書きましたが、「返信」の前に「〇〇を」ときた場合は、「返信」は「返信する」というサ行変格活用の動詞となります。

 

動詞ですから、「する」または「する」の変化形になっていなければいけません。「回答を返信する」「回答を返信して」という形なら良いということです。

  • お帰りになりましたら、回答を返信してください。
  • 今すぐ、回答を返信してください。

 

ね。正しい言い方は本当にしっくりきます。もちろん丁寧にもできます。

  • お帰りになりましたら、回答を返信してくださいますようお願い申し上げます。
  • 今すぐ、回答を返信していただければ幸いです。

 

このように、「〇〇を返信ください」という誤用は「ご」を入れるか「して」を入れるかすればOKなのです。
何も難しいことではありませんので、トライしてみましょう。

 

普段よく間違いやすい表現

 

同じように「〇〇を」をつけたら「ご」か「して」をつけて正しい日本語にできる例でよく使われるものを、あと4つ紹介しますね。

× 書類を送付ください。
〇 書類をご送付ください。
〇 書類を送付してください。

 

× 記事を活用ください。
〇 記事をご活用ください。
〇 記事を活用してください。

 

× 懇親会に参加くださいますよう……
〇 懇親会にご参加くださいますよう……
〇 懇親会に参加してくださいますよう……

 

× 当店を利用いただき感謝申し上げます。
〇 当店をご利用いただき感謝申し上げます。
〇 当店を利用していただき感謝申し上げます。

 

返信する、送付する、活用する、参加する、利用する。

漢字の部分はどれも名詞ですが「する」をつけることで動詞になります。

その場合は「する」に当たる部分をしっかりと書くことが大切なのです。

名詞のままにしたい場合は「ご」をつけ「いただく」「くださる」などをつけて丁寧にしましょう。

 

 

【日本語の誤用シリーズ、人気記事トップ3は……】

「ご自愛下さい」は実は失礼?デキる社会人のメール文末7ポイント

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違い

敬語の3大間違い「させていただく」「よろしかったでしょうか」あと1つは?

スポンサーリンク

目上の人に「お体ご自愛下さい」は失礼?NG敬語メールと文末の正解7ポイント

以前、目上の方に帰りしなに「これからも頑張って下さい!」と伝えたら、「あなたがね」と失笑された経験があります。頑張って成果を出している人に対し「頑張ってください…

「伺います」と「参ります」どちらを使うべき?意外な敬語の間違いと意味

仮に、アポイントの確認をするとしましょう。「明日、オフィスに伺おうと思います」「明日、オフィスに参ります」。メールでも電話でも、どちらも正しいように感じますが、…

敬語の3大間違い。「させていただく」「よろしかったでしょうか」「おっしゃられる」

敬語はとにかく丁寧であればいい、だからたくさん丁寧な要素を入れればいい。そう考えているなら、おそらくあなたの敬語はだいたいが間違っています。中でも代表的な間違い…

「甘味処」は「かんみどころ」じゃない⁉簡単なのに読み間違える熟語10個

「重版出来!」という速報を読んで、「○○さんの本、じゅうはんできだって!すごいね!」と伝えてくれた友人。ツッコミどころ満載でしたが「へー、すごいね!」と流しました…

こんな会話をする人は嫌われる!言語哲学者に学ぶ「4つのNG」

クリスマス・パーティ、忘年会シーズンですね。気の置けない仲間とワイワイするのもよし、職場の仲間と一年の労を労うもよし。そういう中で、自然と人が集まる素敵な会話を…

丁寧なつもりが無礼に!3つの危険な日本語「了解」「大丈夫」もう1つは

礼儀正しく言っているつもりが、実は「失礼」にあたる言葉だった。そんなガッカリなことはありませんよね。もちろん、人間なのでつい言い間違えてしまうこともありますが、…

「さすがです」は実は失礼?相手をうんざりさせる3つの敬語

敬語に関して、使う立場としては、本当に色々気を遣っているのですが、果たして敬語を受ける立ち場の方から見ると、どのような感じなのでしょうか。私も年齢を重ね、人並み…

言葉遣いを直したいあなたへ。今すぐできる2つの対策

元女性議員の暴言が話題ですが、あそこまでひどくないにしても、言葉の悪さは育ちの悪さに対するイメージと直結します。いわゆる「お里が知れる」とはこのこと。ほんの少し…

「させて頂く」とは失礼!そのワケと改善案を解説

あなたが今朝送ったメールに、「させて頂く」という言葉は何回出てきましたか? そして「いただく」を「頂く」としていませんでしたか? 今日はその2点について、どうし…

「過不足」は「かぶそく」ではない!ありがちな濁点がらみの誤読5つ

新年号が「令和」に決まりましたね。清音か濁音かという間違いがない熟語で良かったです。「平成」に元号が変わった時は、「へいぜい」ではなく「へいせい」でいいの?のよ…

「さかあがり」って書けてる?みんなが間違えがちな漢字の書き方10選

さかあがり。坂を上るわけではないので、「さかあがり」の「さか」は「坂」とは書きません。ではどう書くのでしょう?今日はそんな熟語を10個集めました。1・子どもの頃は、日が暮れるまでさかあがりの練習をしたも…

「きゅうきゅうしゃ」って書ける?意外とみんな間違える漢字

今日は読めるのに、書けそうで書けない熟語を集めました。いざというときに「あれ?どう書くんだっけ?」と慌てないよう、しっかり準備しましょう。下線部のかなを漢字に直しなさい。そう、漢字テストですよ(笑)1・…

「往来」じゅうらい?みんなが間違えがちなNG日本語10個

なんとなくこう読むのかもなーと思いつつ、しっかり確かめなかったがために、いざという時に恥ずかしい読み間違いをしてしまうこともあります。今日は意外と読み間違いの多い熟語を集めました。この機会にチェック!…

「強面」ごうめん?間違えてたら赤っ恥すぎる日本語のNG読み10

目で見る分には意味が分かるからと、正確な読みを気にとめなかった熟語ってありますよね。いざ、音読しなくちゃいけない時に、とんでもない読み間違いをして、恥ずかしい思いをしないようにしたいもの。今日は、よく…

「牛車」はぎゅうしゃでOK?意外に間違える日本語の読み10

今回は「説明」に、ちょっと為になるワンポイントアドバイスを入れました。間違いも正せて為にもなる、そんなコラムをどうぞ。1・意訳読み間違いの例いわけ正しい読みいやく意味原文の一語一語にこだわらず、全体の…

「大舞台」だいぶたいで合ってる?みんなが間違える日本語の読み

読み間違いしやすい漢字を集めたコラムは世の中たくさんありますが、何回も見てしまうのは、うろ覚え、覚え切れていないからかと思います。国語教師としては、そのあたりの工夫を凝らしてみたいもの。今日は、例文を…

「押印」おういん?簡単なのに読み間違える漢字10選

この原稿を書いている日は五月ですが、空は快晴です。とても気持ちの良い晴天です。しかしここで「五月晴れ」と書いてはいけません。この「五月晴れ」を「ごがつばれ」なんて読んではいけないし、しかもこの言葉は「…

「役務」って正しく読めてる?簡単なのに間違える漢字10選

新元号に変わり「令和」となりました。この「令」という文字は、フォントによって形が違います。万葉集が出典だったこともあり、日本語に興味が集まっているようです。今回も、誰もが知っている漢字を使っているのに…

「一段落」は「いちだんらく」?知らないと恥かく読み間違え10選

元号改正で再び漢字に注目が集まっています。誤読をした政治家が立たされるなど、ヒヤヒヤする場面も。今回は、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。1・一家言読み間違いの例い…

合いの手は「入れる」?「打つ」?意外と曖昧な言葉5選

言い回しが何だかとっても似ていて、もうどっちが正しいか分からなくなってしまった言葉はありませんか? そんな言葉の中から、間違いやすい曖昧な言い回しを5つ選んでみました。解説も付けましたので、今日、この5…

スポンサーリンク

スポンサーリンク

WORKに関する最新記事